ある日、お客様より『消費者の方が箱(商品化粧箱)を開けたかどうか分かる方法はないだろうか?』という相談を受けたことがありました。どうやら『まだ開けてないから返品します』といって返品された商品なのに、どうも使用されている形跡がみられることが増えて来たとのことでした。
当初は我々も封緘シール・シュリンク等々ご提案をさせて頂きましたが・・・
まずは、コストがかかる(シール等々の部材代はもちろん、それらを貼ったりする手間賃もバカになりない)こと。そして、お客様方針として『地球に優しいこと』を重視されてましたので、ゴミが増えることを懸念されておられました。
『お客様の悩み・こだわりを形にする』それが我々の仕事です。
我々はこのようなお客様の悩みを解決するために一生懸命考えました・・・
そして生まれたパッケージがあります。それが、コストダウンも可能な実用新案登録済の当社オリジナルパッケージ『SS Pac』です。
この『SS Pac』については、後程、詳しく解説させて頂きますが、、、
お客様のご要望の優先順位の上位に間違いなくくるのが『コストダウン』ですね。このコストダウンについては、大変難しいことも多々ありますが、今回はこの点についてお話させて頂ければと思います。
中には「そんなことぐらいは知っているよ」ということも多いでしょう。しかしながら、「初めて知った」という方もきっといらっしゃると思いますので、ある程度『常識』的なこともあるかもしれませんが、知っていて損な話でもありませんので、初歩的なことからはじめたいと思います。
知らなかった方は是非!
知っている方はそれなりに!
ご覧いただければと思いますので、よろしくお願いします。
化粧箱の形状変更によるコスト(値段)ダウン
底ワンタッチ→底ジゴク(底組み式)
上記が底ワンタッチ(右側)と底ジゴク(左側)の図面です。底の形状が違うだけで、展開寸法としても同じになります。展開寸法が同じということは、紙の取都合も同じということで、『貼り方』以外でコスト差が出ることはありません。もちろん、その他の加工・原紙の種類が共通ならという前提です。
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紙の取都合
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化粧箱・パッケージを製作する際には、1枚の原紙に何個
付けられるか?が重要であり、これを『取都合』と言います。
基本的には、多く付ければ製品単価としては安くなります。
それは、印刷~抜きまで機械に通す枚数が少なくなるので、
その分、各々の工賃が安くなるからです。
【例】 製品数(=ロット)30,000ヶの場合
4ヶ付 → 7,500枚通し
10ヶ付 → 3,000枚通し
となるからです。
但し、多く付ければ付けるほど良いのか?というと、そうでは
ありません。ここが難しいところです。
【例】 製品数(=ロット)3,000ヶの場合
4ヶ付 → 750枚通し
10ヶ付 → 300枚通し
となり、両方1,000枚にも満たない通し枚数となります。
その場合は、台数計算と言うのですが、工賃は同じ金額
になることが多いですし、場合によっては「10ヶ付」の方が
高くことがあります。また、別途費用となる型代は多く付け
れば付けるほど高くなります。
ので、「紙の取都合」には、色々な要素が絡み合いロットと
のバランスが非常に大切になります。
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底ワンタッチと底ジゴク(底組み)との貼り形式が違うだけで、コスト差が生まれるということは、すなわち『貼る』という工程にかかる費用が異なるということです。
①ワンタッチ→箱を起こすと底が組みあがっている→サイドだけでなく底部分もノリ貼が必要
②底ジゴク(底組み)→箱を起こした後に底面を手で組み立てる必要がある→サイド部分のみ貼ってあり、底部分は貼る必要がない
従って、底ワンタッチ→底ジゴク(底組み)に形状変更した場合は、その貼り工賃の差額分コストダウンが出来るということです。
但し、お分かりかとは思いますが、底ワンタッチ→底ジゴクに変更した際には、『底部分を手で組み立てる』という作業が増えますので、その作業工賃がUPします。
ので、化粧箱・パッケージ自体のコストダウン分と、作業工賃のUP分との差額がどうなのか?ということを考える必要は出てきます。
キャラメル形式→底ジゴク(底組み式)
意外と見落とす盲点的な部分ではありますが、キャラメル形式→底ジゴク(底組み式)に変更することによって、コストダウンを図れることもあります。
上記の画像を見比べて下さい。両方とも一番左の面がノリシロで、どちらも貼る部分はここだけですので貼工賃としては同じです。
では何が違うのか?と言いますと、図面の下を比較して頂けるとよく分かるかと思いますが、キャラメル形式の方が天地が長くなってます。天地が長い=展開寸法が大きい=紙の取都合が悪くなる可能性がある。ので、
底ジゴク(底組み式)より、キャラメル形式の方が高くなる場合があります。
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紙の取都合が悪くなる可能性?良くなる可能性?
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製品の展開寸法によって、紙の取都合が変わるわけですが
・大きくなれば取都合が悪くなる(=製品代が高くなる)
・小さくなれば取都合が良くなる(=製品代が安くなる)
とは限りません。
例えば、650×475mmという紙を使用する場合、
① 製品A: 化粧箱の展開寸法→ 250×210mm
② 製品B: 化粧箱の展開寸法→ 300×220mm
②の方が①より展開寸法が大きいですが、どちらも4ヶしか
650×475mmの紙には入りません。
という場合は、紙の取都合は【同じ】ということになります。
但し、もし560×475mmの紙があった場合、①は4ヶ入り
ますが、②は2ヶしか入りません。また、800×550mmの
紙があった場合、①は6ヶ入りますが②は4ヶしか入りません。
こういう場合を「①の方が取都合が良い」と言います。
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実際に、キャラメル形式と底ジゴク(底組み式)の具体的な寸法を比較してみたいと思います。
【例】
仕上寸法が、両方ともW(巾)50×D(奥行)50×H(高)100mm
・キャラメル式 → 展開寸法:230×214mm
・底ジゴク(底組み式) → 展開寸法:202×214mm
上記のように左右は同じですが、天地が28mmも変わってきます。この差が紙の取都合に影響する場合=キャラメル式より底ジゴク(底組み式)の方が紙の取都合がよくなる場合、キャラメル式→底ジゴク(底組み式)に形状変更した方がコストダウンになります。
ただ、この紙の取都合は実際には化粧箱・パッケージの印刷会社さんの方でしか分かりづらいかと思いますので、『両方の形状パターンで見積出してみて!』という依頼をされると良いかと思います。
但し、ここで注意しておかないといけないのは別途費用の部分である型代についてです。通常、キャラメル式よりソコジゴク(底組み式)の方が型代が高くなりますので、その辺りを加味して総合的に考える必要はあります。
オール組立箱→両サイド貼あり組立箱
上記の【A】がオール手組みの蓋・身式組立箱の展開図です。
対して【B】が両サイド貼有の蓋・身式組立箱の展開図になります。
【A】の方は、文字通りノリ貼等されている部分がなく、納品の際は上記展開図の状態のままで、すべてお客様の方で組み立てるタイプの組立箱です。
もちろん、組立納品ということもありますので、その際は、弊社にて組立後納品になりますが、どちらにしても、すべて手作業による組立ということには変わりありません。
【B】の方も、これまた文字通り両サイドをノリ貼されているタイプであり、具体的には下記図(左側)の赤線と青線部分が貼り合わされて、最終的には、下記図のような状態で納品となります。
さてここで、『オール組立箱→両サイド貼あり組立箱』がなぜコストダウンになるか?ということですが、普通に考えれば【B】の方が『貼り工程』が追加される分、高くなるのではないかとなるわけですが・・・・・その通りです(笑)。資材の箱という意味では通常【B】の方が高くなります。
ただ、この組立箱は『組み立て』て使用するものなので、組み立てられた状態までのコストで比較しないと意味がありません。従って、両サイドを貼りされることによって、組み立てやすくなるので、その分の組立工賃は安くなります。ので、その差額分以下で、『両サイド貼り』が出来れば、トータルコストは安くなるということです。
ので、普通に考えれば、手作業より機械貼りの方が安くなるはず!です。
では、逆に安くならない場合というのは・・・・・
① 小ロットの場合
② 組立代が安い(?)場合
①についてはお分かりだと思いますが、例えばロットが100ヶであれば、組み立て代に@30.0かかったとしても¥3,000円なので、機械貼りの方が高くつきますね。
②については、おそろしく安い人件費のところをご存知か?もしくは、実質的に人件費がかかりにくいところですね。たとえば、店舗毎に組み立てて使用する、かつ、店舗にはヒマな時間があるので、その間にアルバイトの人に組み立ててもらう等々でしょうか?
どちらにしても、組立までの総コストで判断する必要があります。
それだけじゃない『オール組立箱→両サイド貼あり組立箱』の差
この2点の差は、貼り工賃と組立工賃の差額だけだと考えがちですが、
そうではありません。一番最初の図面をもう一度よく比較して頂ければと
思いますが、展開寸法が『両サイド貼り』の方が小さくなるのです。
しかも、蓋・身式というくらいですら、『蓋』と『身』各々が小さくなれば・・・
展開寸法が小さい⇒紙の取都合が良くなる可能性がある⇒コストが安く
なる可能性がある。ということですね。
今回も出てきました『可能性がある』という話。
そうです!【展開寸法が小さい=紙の取都合が良くなる】とは限らない
ということですね。ただ、先程も言いましたが、蓋&身なので、可能性が
高いとも言えるでしょう。
蓋・身式組立箱の場合、強度を必要とすることも多いので、紙厚も厚い
ものが使われることが多いです。ので、少し小さくなるだけで、結構な
コストダウンにつながることがありますので、組み立て箱をお考えの時は
是非『オール組立箱』と『両サイド貼あり組立箱』の2パターンで見積を
取るようにしてみて下さい。
見積を取ること自体に費用は掛かりませんので(笑)
蓋の高さを調節しよう!
確かに、『オール組立箱→両サイド貼あり組立箱』に変更するだけでは取都合が変わらず、思ったほどの差額が出ないこともありますし、そもそも内寸自体を変えられないのだから、大幅なコストダウンは無理だろうと思われるかもしれません。
我々も、紙寸自体は変えられないので、『あと2mm短ければなぁ』なんて思うことがあります。
そんな時に、有効な方法が『蓋の高さを変える』ということです。上記の写真をご覧いただければお分かり頂けるかと思います。この差を分かりやすくしたのが下の図です。
天地・左右ともに、結構小さくなるのがお分かりかと思います。
この図は、各々両サイド貼りでの高さ変更ですが、『オール手組身式の組み立て箱』の場合でも同様に小さくなります。さらに言うと、『オール組立式』⇒『両サイド貼り、かつ、蓋の高さ変更』を行えば、かなりの縮小になり、ここまですれば紙の取都合は、そのほとんどの場合によって良くなります。
ただ、見栄えが・・・と危惧する方もおられると思います。
しかしながら、上記写真はかなり蓋の高さを短くしていますが、例えば、その差が、2~3mmならどうでしょう?見栄えと比較しても許容できるレベルではないでしょうか?
そして、この2~3mm短くするだけでも、取都合がよくなる場合があります。
だまされたと思って、是非一度ご一考下さい。
とはいっても、この部分はパッケージ屋さん(=印刷会社)の方でないと分かりにくい部分ではあります。ので、良心的なパッケージ屋さんとお付き合いされるということが必須の条件にはなりますが・・・・・
中仕切は一体型?別パーツ??
上 記のように蓋を開けた際に、真ん中に1本の仕切が入っているような箱を見かけたことはありませんか?スティックタイプや三方シールタイプの分包が多く入っている化粧箱には、このような中仕切のついた化粧箱がよくあります。
今回のお題は、この中仕切が【化粧箱と一体となっているか?】あるいは【化粧箱と一体となっていない別パーツか?】という問題です。
まずはじめに、別パーツというのは分かりやすいですが、【化粧箱と一体化】というのはどういうことかと言いますと、、、、、箱を起こすと底が一緒に組みあがるタイプの箱は『底ワンタッチタイプ』でしたね。この『底ワンタッチ』と同様に、箱を起こすと一緒に(自動的に)中仕切のついた化粧箱になっているということです。
つまり、別パーツに比べて『中仕切を組み上げて(折ったり畳んだりして)⇒化粧箱の中に入れる』という作業をしなくても良いということです。
さて、ここで、大テーマである『コストダウン』という見地から考えると、どちらが安く上がるのか?ということですが・・・・・これは非常に難しい問題です。
普通に考えれば、手作業より機械貼りの方が安くなるはず!です。
ので、『化粧箱本体と中仕切が一体化されている』方が安くなるはずですが・・・・・では、逆に安くならない場合というのは・・・・・
① 小ロットの場合
② 組立代が安い(?)場合
ここまでは、前回と同様で、詳しくは『オール組立箱→両サイド貼あり組立箱』がなぜコストダウンになるか?の部分を参照頂ければと思います。
ただ、今回の場合、それに加えて原紙の取都合の問題があります。簡単に言うと・・・まず下記の図を参照下さい。
『本体・中仕切一体型』というのは、大きさ的には、ほぼほぼ『本体』+『仕切』という感じになりますが・・・・当たり前ですが『本体』と『仕切』を切り離せないので、1枚のシートの寸法によっては同じ寸法の紙に同じ数の取合せが出来ない(=取都合が悪くなる)ことがあります。
どういうことかというと、下記の図をご覧いただければと思いますが、
同じ紙の寸法なのに、
・ 『本体』+『仕切』は2セット入る
・ 『本体・中仕切一体型』は2ヶ入らない
という現象が起こることがあります。。。ということか、こういういうことがよくあります。
ので、同じ数量を作成するのに、一回り大きい寸法の原紙を使用しないといけなくなる=紙が無駄に大きくなる=紙代が高くなる=1ヶ当たりにかかる製品代が高くなるということが起こるのですね。
従って、今回の場合は『どちらかに変えた方が安くなる』とは言い難い形状の例になります。しかしながら、逆に言うと大ロット等々どのような場合でも、どちらかに変更すれば、コストダウンが出来る可能性があるとも言えます。
ちなみに、『本体』+『仕切』という別パーツの場合、『仕切』を別素材には変えるということも可能です。つまり、『本体』で使用している原紙素材より安価なもの・紙厚の薄いもので『仕切』を作成することにより、コストダウンをはかることが出来るかもしれません。但し、これは大ロットの場合に限ります。
ある意味、形状(薄型)によるコストダウン
通販等々でよく使用されている形式ですが、宅配便のケースと同じですね。
利点の1つは、もちろん厚み薄くするということですね。
郵政含め、各宅配業者さん毎に規定は若干異なりますが、ある一定の厚み以下の場合、運賃が安くなります。
そうです。これも形状によるコストダウンです(笑)
いっときほどの話題性はなくなりましたが、まだまだ根強い人気の青汁等々でよく使用されています。『めっちゃたっぷりフルーツ青汁』『すっきりフルーツ青汁』『フレッシュフルーツ青汁』などなどフルーツを配合した飲みやすい青汁が今は人気なのかもしれません。
話はそれましたが・・・・
このような『粉末・顆粒』系のものであれば、ツブれることもありませんので、健康食品系で使用されることも多いですね。
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念のため・・・・
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上記の『めっちゃたっぷりフルーツ青汁』『すっきりフルー
ツ青汁』『フレッシュフルーツ青汁』などなどが、このまま
(=化粧箱のまま)配達用の箱として使用されているという
意味ではありません。
もしかすると、このまま配送箱を兼用されているかもしれ
ませんし、違う配送用のケースがあり、それに入れられて
いるのかもしれません。
私自身は購入させて頂いたことがないので荷姿不明です。
誤解なきよう、一応、追記させて頂きました。
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その他、ハンカチ・肌着・カタログ冊子等々、①小さくて②ツブれないものであれば、この形状を使用出来るかと思います。
ついでに言うと、もう1つの利点は、ツブれないということですね。先程(上記)の“ツブれない”はもちろん、“商品がツブれない”ということでしたが、今回の“ツブれない”はは“箱自体がツブれない”ということです。
元々ツブれているような(=マチがない)ものなので、当然と言えば当然ではありますが、これは結構重要な要素ですね。
マチのある(=厚みのある)化粧箱であっても、各宅配業者の規定以下の厚みしておけば、もちろん配送箱として使用は可能なのですが、箱がツブれてしまう可能性が高いですね。
そして、箱がツブれていると“最終ユーザーに対して印象が悪い”と思われる方がほとんどだと思います。特に日本においては。
ですから、化粧箱を使用する際は、さらにその箱がツブれないように、外箱(=段ボールケース)に入れるということも多いかと思います。
ですが、この封筒型パッケージであれば『箱ツブレ』の可能性はありません。そうです。元々ツブれているような(=マチがない)ものなのですから。
こういう(=さらなる外装ケースを必要としない)面においても、ある意味、形状によるコストダウンと言えるのではないかと思います。
フルフラップとハーフフラップ
フルフラップ形式とは、上記のように、正面と背面から伸びる天地を覆う
フラップが、両方ともに奥行きとほぼ同じ長さのもので、デザイン的には
正面から伸びるフラップで天面(or底面)全面をカバーするような形式です。
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カルトナー
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フルフラップ形式は、化粧箱(特に大量製造される食料品に
多く見受けられる形状の化粧箱)を、自動で箱起こし→中身
を充填→封函する機械に対応した形状になります。
(カルトナーの機械なんて持ってないよ。すべて手詰めだよ。
という方も多いかと思いますが、まぁ知ってて損はないかな
程度にご覧頂ければ(汗)・・・・・)
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そして・・・・・
この形状をどのように変えてコストダウンを図るかと言いますと『フルフラップ』⇒『ハーフフラップ』に変更するということです。はい。もう言葉通りですね。
百聞は一見に如かずということで、下記画像をご覧ください。
分かりやすくするため、先程の画像のものを流用し、フラップの先端を切り離したもので説明させて頂きますが・・・もう、見たまんまですね。
先程は天面全面を覆っていたフラップがハーフになっております(実際には本当の半分ではなく、半分よりちょい長めです。でないと、フラップとフラップが重ならないですから)。
要はその分、紙が少なくて済むということですね。
また、底面も同様にハーフなので・・・天地の分を合わせれば結構な紙の削減につながります。
ので、
・(展開寸法が小さく)原紙1シートに対する面付け数が多いもの
・奥行の長いもの
ほど、この効果は絶大です。なぜならパッケージコストの中に占める原紙価格のウェイトはかなり高いものだからです。
形状によってはこんなことも!
実際にあった話をベースに、お話しさせて頂きます。
内容としては、A~Dという商材があり(というか、本当はもっとあったのですが、便宜上4種ということにさせて頂きまして)、前回はA~Cが付合、そして、Dが単独仕掛ということで、製造させて頂いたものがありました。
で、その次の製造ではC以外の3種のリピート製造になりました。
単純に考えると、『Dは問題なくそのまま仕掛』ですが、ABについては前回通りで行くと、Cまで一緒に出来てしまいます。ということは、お客様としては『Cは不要なのに出来てしまう=無駄=もったいない』というお考えになられます。まぁ、普通はそうなりますね。
ただ、ここで幸いなことにA~Cは『断裁仕上品』だったのです。
『断裁仕上品』というのは、真っ四角の台紙形状ということであり、つまり、抜き加工がいらない=木型もいらない製品だったわけです。
そこでもちろん私としては『Cを外してABだけで付合せる』という方法をご提案しました。
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業界の常識でも業界外では??
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私共(印刷会社側)からすれば、普通のことなのですが、
お客様にすれば『一度作成すれば同じ方法でしか作れ
ない』と思われている方も多く、(もちろん『同じ方法』で
しか無理な場合も多いのは事実ですが)案外、業界の
常識は業界外では知られていないということもあります
ので、我々はいつもそれを念頭に置いておかないといけ
ないのはもちろんのことです。
ただ、覚えておいて頂きたいのは、お客様の立場の方
なら、ダメ元でも一度聞いてみるということも大事である
ということです。
これは様々な業界や日常の色々な場面でも同じことが
言えるのだろうと思います。
こと印刷に関してはお客様の立場でも、違う場面なら
当然逆の立場になることもあるでしょうから、『これは
当然分かっているだろうと』という思い込みを普段から
なくすようにできればと思います。もちろん私もです(笑)
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さてさて、話しは飛びましたが、これで終わりではありません。残ったDにつき、こちらは『抜き』があるので、まぁ普通に考えれば、前回通り単独で仕掛るしかありません。
そこで、先程よりも、もう少し考えました!!
これまた幸いDは小さいサイズの用紙での製造でしたので、原紙を大きいサイズにしてA・B・Dの3種を全て付けてしまおう!ということです。
分かりやすく例えて言うと・・・・・
800×550mmで印刷し、印刷後に半分に断裁する。
⇒そうすると400×550mmが2種出来ますね。
ので、
この片方にABが付くようにして、断裁加工に回す。
もう片方にDが付くようにして、抜き加工に回す。
ということです。
いかがでしたでしょうか??場合によっては、形状によってはこのようなコストダウンの方法も出来るということです。しかしながら、ここまでの手法・方法はお客様の方ではなかなか思いつかないというのが正直なところだと思います。
つまりは・・・このような提案をしてくれる印刷会社さんとお付き合いをされるということが大切だということですね。
ちなみに・・・上記は当社の実例です(笑)
化粧箱の表面加工によるコスト(値段)ダウン
表面加工の種類と特徴
まず初めに、一般的な表面化工の種類を紹介します。
① ニス or マットニス
もっとも簡易な表面化工とも言え、印刷色と同様、印刷機で出来る表面化工です。すなわち、(これも印刷色と同様)薄く引き伸ばして原紙に塗布するため、皮膜層が薄くなり、耐摩擦性では最も弱く、最もグロス感・マット感の低い表面化工です。
② ビニール引き or マットビニール引き
印刷後、オフラインにて行います。印刷機とは異なり溶剤を(ニスよりは)厚く塗布できますので、皮膜層も厚くなり、その分耐摩擦性もUPしますし、グロス感・マット感もUPします。
③ プレスコート
ビニール引きと同様オフラインにて行います。ビニール引きとの大きな違いは、溶剤を塗布後、鏡面にてプレスします(『プレスコート』と言われる所以ですね)。そのため、オモテ面の平滑性が優れグロス感が極めて高くなると言えます。ただ、それがゆえに少しのスリ傷でも目立ちやすいと言えます。
※プレスコートに『マット』はございません。
④ UVコート
通常インライン(=印刷機)で行いますが、印刷色を刷る胴とはことなりコーター胴にて行います。ので、印刷色・ニス等の場合と異なり、厚みを持たせることができるので、耐摩擦性も優れています。グロス感については、意見が分かれるところですが、③のプレスコートと同等レベルになります。
但し、UVコートの場合、版を作らないといけない場合が多いため、その版代が高価でもあり、価格面では③のプレスコートの方が若干優位性があります(=双方とも『版あり』・双方とも『版なし』で比べれば、あまり差はありません)。
⑤ フィルムラミネート (グロス or マット)
文字通り、印刷原紙にフィルムを貼り合わせるため、最も耐摩擦性に優れグロス感・マット感も一番だと言えるでしょう。特にマット感を強調したい場合はオススメです。手触りもなめらかで高級感が醸し出されます(グロスの方については、比べればもちろん輝度が高いと言えますが、見た目の違いはそれほど大きくありません)。
表面加工の価格比較
上記の①~⑤を価格順に並べますと、、、、、、
まぁ、お分かりだとは思いますが
【安】 ① < ② < ③ < ④ < ⑤ 【高】
ですね。
※ ちなみに、グロス感・マット感が高いのは?
【低】 ① < ② < ③ = ④ < ⑤ 【高】
ですね。
※ ちなみに、耐摩擦性に優れているのは?
【弱】 ① < ② < ③ < ④ < ⑤ 【強】
従いまして、『表面加工によるコストダウン』については
⑤→④→③→②→① と変更することによってコストダウンが出来ます。
ということで、以上になります。
なんてことは、ありません(笑)
上記は、あくまで『基本的には!』ということです。
つまり、『基本的じゃない場合もある』ということです。
キーポイントは、ズバリ『ニス』です!!
お客様にとって、コストダウンは最も気になることに1つでしょう。そして、ニスが安価なこともお客様は良くご存知ですから、コストを抑えよう・抑えようとすればするほど【表面化工⇒ニス】という考えになり、『表面加工はニスにして!』と言ってしまいがちですが、ここに落とし穴があります。
どういうことかと言うと、実は『ニス』にした方が高い場合があるということです。
『表面加工はニスにして!』というのと、『一番安い表面加工で!』というのとでは、大きく変わってくることになります。まぁ、弊社のように(笑)良心的な会社であれば、意図を汲んで『ニスが良いのですか?安い方が良いという意味ですか?』とお聞きしますが・・・
ということで、『ニスの方が高い』とはどういうことかと言いますと、
印刷色と同じ扱いになるということ。
「台数計算」という言葉をお聞きになったことは御座いますでしょうか?
印刷機を動かす場合、事前に色々準備も必要なため「1枚だけ印刷したから、@10です」という訳にはいきません。たとえ、1枚であろうと最低料金がかかります。ただ、その最低料金の枚数は各社さん異なり【1~1,000枚まで】とされてるところや、【1~1,500枚まで】とされているところなどが多いです。これを台数計算と言います。
もちろん、その他の表面加工にも、同様に台数計算(=最低金額)というものがあります。ただ、各々の最低基準の価格は、当然各社さんにより異なりますので、印刷の最低価格と、その他の表面加工の最低価格の、どちらが高いかという比較になります。
ので、この最低金額内のロットで、かつ、印刷料金の方が高い場合は『ニスの方が高くなる』ということです。
ニスの上からでは、ノリが付かないということ。
上記で、仮に 印刷最低料金 < 表面加工最低料金 となった場合でも、『ニス』の場合は、『版』を作らないといけないことが多いです。『箱』だけに限定すると、貼り加工を伴うものがほとんどなので、ニスの上からはノリが付きにくくなるため、どうしてもノリ貼する部分にニスが付かないように、版を作成しなければなりません。
そして、この印刷用の版を作成すること(=刷版)にも、当然費用が掛かりますので、たとえ、 印刷最低料金 < 表面加工最低料金 という場合でも、総額でいえば、 印刷最低料金+刷版費 > 表面加工最低料金となるため、『ニスの方が高くなる』ということです。
化粧箱作成に関する“その他加工”のコスト(値段)比較
箔押しのコストは大小(=面積)で決まる!
【質問】Q. 上記の①~③では、どれが一番箔押し代が高くなるでしょうか?
見積依頼を頂く際、よく『仕様は、原紙:〇〇、印刷:〇色、表面加工は〇〇、ロットは6,000ヶで見積下さい。』&『あっ、それと高級感を出したいから箔押しした場合としてない場合の両方で見積頂けますか?』というようなご依頼を受けます。
その際、必ず『箔押しの寸法はどうしますか?』とお聞きしますが、『えっ?デザインもまだ決まってないから、寸法と言われても。。。。。』ということがままあります。
これは、箔押しは全面に施すことは少なく、1ポイントとして使用されることが多いですし、箔押しは、その他の加工のように(そこに版があるかどうかだけで)基本全面に加工を施すのではなく、『箔材』というものを使用し、かつ、その箔材を極力無駄なくピンポイントに使用することが可能だからです。
だからこそ逆に1ポイントとしてしか使用できない(=コストが高くなりすぎるため)とも言えますが。
ということで、最初の質問に戻りますが、上記①~③で、実際の箔押し自体の面積でいうと①>②>③の順で、③が一番小さくなります。ので、『箔押しは大小(=面積)で決まる』のですから、コスト的にも①が一番高く、③が一番安いかというと・・・・・そうではありません。
『箔押しの面積』は、厳密にいうと『使用する箔材と箔版の面積』なので、実質的には下記【緑】部分になりますので、①<②<③となり、③がコスト的には一番高くなります。
箔押し加工をご希望される場合は、このことをシッカリ覚えてデザインにも反映させて頂ければと思います。そして、見積依頼される場合は、箔押し部分の大きさは『〇〇×〇〇mm』と伝えられるようにしましょう!
もしかしたら、案外それだけで、『あっ、この人は結構詳しいな(=下手な見積は出せないな)』と思わせることが出来るかもしれません(笑)
高級感を出すためには、パール紙か?パール加工か?
「高級感を出すためにパール紙を使いたい」という方も多いかと思います。
その際、パール紙を使われることも多いでしょう。
しかしながらグラビアパール印刷もご一考下さい。
ただ、値段が・・・と思われるかもしれませんが、コスト的に見てもパール紙と比較しても大差ないと思われますし、ロットが大きければ(といっても、無茶苦茶な量ではないです)グラビアパールの方が安いくらいです。
もちろん、逆にロットが少なければ高くなる可能性も大です。その境界線は、その商品の大きさ等々にもよりますので、一概には言えませんが、3,000ヶ~5,000ヶ以上作成される場合は、一度見積をとってみるのもいいかもしれません。
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グラビアパール印刷のメリット
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・お好みの色に調整が可能です。
・強度的に、質的に、問題のない原紙を
使用することが可能です。
(というのは、パール紙というのは、基本
的にそんなに種類のあるものが少なく、
『この色がいい!』と思っても紙厚が薄く
て強度的に問題があったり、『紙質的には
問題ないけど、もう少し色がなぁ~』という
場合が多いです。)
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余丁に対する考え方
『余丁』については色々な考え方があります。
パッケージ屋さん(=印刷会社さん)によっては、「ご依頼のあった発注数分しか納品致しません(=予備が必要ならその分も発注して下さい)」という印刷会社と、「余丁が出来たら一緒に納品してもいいですよ?」という印刷会社があります。
もちろん「定数通りで入れて欲しい」と言われるお客様もいらっしゃいますし、「製品化する数量は変わらないから、多めに入れてもらっても一緒」という考え方もあります。
なので、余丁を付ける付けないの話ではなく、もちろん余丁が多い少ないの話でもありません。大事なのは、どちらがお客様のご要望に沿った対応をとることが出来る体制であるか?ということであり、どちらが『よりお客様のご希望にお応えできるか?』ということですね。
当然、後者の印刷会社の方がどちらにも対応でき、よりお客様にとって有益な印刷会社さんと言えるでしょう。そして、そういう対応力も含めた中で、考え方によっては『余丁がコストダウンにつながるケースもある』ということですね。
我々は常にお客様の立場に立って、お客様のご要望に沿った対応を心掛けております。
『SS Pac』について
冒頭に出てまいりましたこの当社オリジナルパッケージである『SS Pac』(実用新案登録済)のご説明をさせて頂ければと思います。
※ちなみに、『SS Pac』という名称は Seal&Simple opening Package(封緘式簡易開封型パッケージ)の略であります。
ただ、なぜ『Pack』ではなく、『Pac』なのかというご指摘もあろうかと思いますが、そこは当社ケイパックであるからです。
???という方は、当社のロゴマークを今一度(というか、この機会に是非)ご確認頂ければと思いますが・・・・・そうです、当社は『Kpack』ではなく、『Kpac』なのです。
『SS Pac』はこのような悩みを解決します
シール代はもちろんシュリンクではもっと費用がかかって予算が合わない。
箱の封緘を考えるなら一番最初に考えるのが『封緘シール』であり、最も多い封緘方法ですね。コストを掛けたくないので無地が良い→しかし白い色の無地シールではデザイン的にも難あり→かと言って印刷をいれるともっと高くなる→やはり、デザインにも影響を与えない無地のシールで!ということが多いですね。
しかし、そういった透明の無地シールでも、もちろんシール代が発生します。たかがシール代、されどシール代というところではないでしょうか?たとえ@0.10円でもコストUPさせたくないということは多くないですか?
シール貼り作業代と貼りミス(ロス)がバカにならない。
封緘シールを使用するということは、当然シールを『貼る』という作業が伴います。人が1枚1枚貼って行くことを考えれば『シール貼り代』の方がシール代自体より高いということはよくある話です。
しかも、貼りミスをすることを考えればシールを多めに作成しておかないといけないでしょうし、貼りミスは最悪化粧箱自体もダメにしてしまいかねません。
費用だけでなく、時間も節約したい。
特に新製品の立ち上げの場合など『製品出荷にギリギリ間に合った』という話もよくお聞きします。それはもちろん、少しでもより良いものを追求するがためにギリギリまで試行錯誤を繰り返されるからだろうとは思います。
そんな時に『この製品には最後に封緘シール貼りがあるorない』というのはどちらにしても、最終的な時間を逆算して考える場合、どちらがよりその他の事に時間が割けるかは明白ですね。
お客様に安心をお届けしたい
封緘シールを使用する最大の理由は、この『お客様に安心をお届けしたい』ということだと思います。『SS Pac』はこの辺も封緘シールと同等の安心感をお届けすることが出来ます。
上記で1つでも該当することがあれば是非ご相談ください。もちろん、この『SS Pac』誕生のきっかけとなった「『使用してません』という返品を確認したら、どうも使用したような形跡があるものが増えた。」というような場合も有効なパッケージ形状です。
『SS Pac』の特徴
① サクッと差し込み!
② バリッと簡単開封!
点線に沿って軽く押して開けるだけなので開封が簡単です。
このようなメリットがあります。
◆封緘形式のためバージン性が保たれます。
◆開封防止シールが不要のため、2つのコストダウンが可能!
① もちろん開封防止シール代がかからなくなります。
② 開封ボウシシールを貼る『作業代』が軽減されます。
◆押して開けるだけなので、開封がカンタン!
◆パッケージ自体の価格は変わりません。
悩み解決=メリットなので、前項での『このような悩みを解決します』に対応した内容になっているかと思いますので、あらためて解説するのはやめておきますが、最後の1項目だけは是非覚えておいて下さい。
そうです!このSS Pac機能がついていても、ついていなくても『パッケージ自体の価格は変わらない』ということです。
((先に正直に言っておきます『パッケージ自体』以外では価格が変わる
ところが1つだけあります。それは『型代』です。これは形状をご覧頂ければ分かるかと思いますが、形状が複雑になる分は当然型代がUPします。))
同じランニングコストであれば、SS Pac機能を付けるべきか?付けないべきか??是非是非ご検討下さい。そして、この機能を付加したいという方は是非是非お問合せ下さい。
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