箱をサンプルカットとトムソンで作成するときの違い。

先日お客様との打ち合わせの中でひやっとするお話をいただきました。

そのお客様が先様から言われたことのようなのですが、
なんでも「展示用の箱が必要で6種類×それぞれ10個ずつ」を「来週末までに」で

「紙は以前の業者が使っていたやつ(赤黒の合紙もの)これが現物ね」
という依頼だったようで、とりあえず物は手元にあるので打ち合わせしましょうと
まあ大変ありがたいことにお声掛けをいただきました。

さてこれはどうしたものかと2人そろって頭を抱えましたが
木型を6種も作ることはいくらなんでも費用的に無理なため
やるならサンプルカッターを使って切っていくしかないだろうと、

しかし一枚一枚切っていくその作業で果たしてどんな費用と納期が必要になるのかと
そしてそれを呑んでもらえるのだろうかと戦々恐々としましたが、
とはいえかかるものはかかるので、やはり正直にぶつけるしかないないですね。

こんな感じに話がまとまり、早速紙が何かを調べて、
サンプルカットにかかる納期を実際どんなものか聞いて、
一個当たりの単価も出して、
さて、一式こんな条件になりますけど良いですか?と
先方に投げかけてもらいました。

結果的には、そんな費用は払えないからカッターナイフを使って切るので
紙だけ用意してくれということに。

そしてその紙も赤紙代+黒紙代+合紙代は高いから
黒紙だけ用立ててくれ。という話になりました。

そんなわけで今回は使わずじまいでしたが、サンプルカッターを用いた試作自体は
しょっちゅう行います。(今回のように何十個もということは滅多にありませんが)

ちょっとした提案であったり微調整であったり、
実物を入れて運搬するに耐えるのかとか、
実際の充填作業としてどの程度の効率性があるのかを試したりと
様々な用途で試作するために使用されます。

商品をカタログに載せるための撮影用に本生産品よりも先にほしいということで
色校正をサンプルカッターで切ってそれを使って頂くということも、よくある依頼です。

そんなサンプルカッターですが図面のデータを打ち込んで

それを読み取った機械がカッターを用いて自動で切って圧してを繰り返すことで

原紙から箱の形状に切り出します。

図面のデータを打ち込んで作っているわけですし、
紙も用意さえすれば本番と同じものを切ることができるため
トムソン機に木型をセットしての本生産と近いものが出来上がります。

しかしまったく同じものが出来上がるというとそうでもありません。

今回はその辺りを少しお話してみたいと思います。

箱をサンプルカッターとトムソンで作成するときの違い①粗さ

まずは目で見て最も差がわかりやすいところから紹介してみたいと思います。

掲題の通り、サンプルカッターとトムソンでは原紙から切り離して作成した箱の、
その切り離した線の粗さに差があります。

どちらの方が粗いかというと、サンプルカッターで作った方になります。

これの理由として一つには刃の形状の違いが、
もう一つは切り方の違いがあげられます。

サンプルカッターで使用する刃は市販のカッターナイフと同様のレの形をしております。
これを人がカッターナイフを用いて切るときのように一方向から切り離していくので、
切り方としては紙を押し広げながら切るようになります。

対して木型をセットしてトムソン機にて切り離すときに使用する刃はVの形です。
これがあらかじめ箱の切り離す箇所全てにずらっと一列に並んだ状態になっていて、
そこに向けて紙全体を押し上げて均一に同時に圧を加えて切り離します。

そういった加工の違いから特に角度のある部分である
箱の差込口などにおいては見た目でも粗さがわかるようになります。

箱をサンプルカッターとトムソンで作成するときの違い②罫線の強さ

さて次に罫線の強さの差を紹介します。
罫線とは箱を組み立てる際に折る必要のある箇所を折りやすくするように
入れてある線のことをさします。

これもサンプルカッターとトムソンでの作成では、その強さに差がでやすいです。

ではどちらの方が強くなりがちかといいますと、サンプルカッターになります。

理由としては、サンプルカッターを使用して罫線を入れるときには
切り離すための刃ではなく、罫線を入れるためのボール状のローラーのようなもので
入れたい箇所をなぞっていくことで罫線を作ります。

しかしこれはトムソンを用いたものに比べてかなり弱くしか入りません。
そのためこの状態で折ろうとすると綺麗にまっすぐ折ることが難しいのです。

そこでサンプル作成時には切り離して弱くしか罫線が入っていない箱を
さらにその弱い罫線の上を専用の道具を使いなぞっていくことで強くします。

トムソンではもちろん刃を入れる際に一緒に罫線もしっかりと入れてしまうので
(その部分をどの程度深く入れるかなどの調整は必要です)
一度の加工で罫線を入れる作業も終わります。

そうなると2回に渡って圧をくわえている分サンプルカットのときの方が
強く罫線が入りやすいのです。

ただこの罫線を入れる方法ですが、凸のある下敷きのようなものと
先端が凹になっている鉛筆のようなものを用いて人力で、
それこそ直線を鉛筆で引いていくようにして行います。

そのため均一には入らずに罫線の強さにはどうしてもムラがでます。

それでも本生産品よりは強くなりがちですが。

箱をサンプルカッターとトムソンで作成するときの違い③そもそも…

さて最後にそもそもサンプルカッターでは作成できないものを紹介します。

それはトムソンで浮き出し加工を行うときのものになります。

浮き出し加工とは特定の柄を入れた版を貼り付けた木型を用いて、
これをトムソンにセットして通常の加工と同じように紙を押し上げて圧を加えることで
その柄を浮かびあがっているかのように見せる加工です。

浮き上がらせたい部分の両サイドに圧をくわえて凹ませることで対象の部分が
浮かび上がっているように見えるのですが、
これをサンプルカットで作成することは出来ません。

なぜなら①②で書いているように、
サンプルカットはその加工方法が人力で線を入れたり切り離したりしているものを
機械を用いて高性能かつ高速で行っているだけのもののため、
根本的に圧をくわえる必要があるこの加工を再現することはできないのです。

そのため浮き上がりがどのような仕上がりになるのかは
少なくとも木型を実際に作ってみなければわかりません。

作った木型をトムソンにセットして試しに加工してみて、
それに問題があれば木型を作り直して、という手順を踏むことになります。

浮き出しを表現するための方法としては他にも数多くありますが、
トムソンを通すだけでできるこの加工は、その中においては高いものではありません。

しかし見本を見れないことや、木型代はかなり値を張ること、
さらに言えばそもそも再現精度があまり高くないことなどがあり、
単純な形状であれば良いのですが複雑なものはオススメしづらいものとなっています。

もし複雑な模様であれば単価があがろうとも他の加工を選ばれたほうがよいかと。

ということでトムソンとサンプルカットの差を少し紹介しました。
具体的にどんな差があることまでしっかりと覚えていただかなくても、
サンプルカットと本生産では差が発生するということだけ覚えて頂ければ
箱を作成するときに役に立つかと思います。

 

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