ハンドルスピナーの共通箱の意図

ハンドルスピナーってご存知でしょうか。
こんなものです。

私には何が面白いのか理解しがたい謎の「一度回すと、ずっと回っている」というおもちゃです。

理解しがたいなどと失礼な物言いをしましたが、実はこれ、もともと元々自閉症の方の精神安定剤のような役割を求めて開発されたもの。

それがいつの間にか広がりブームとなって現在に至ると。

で、なぜパッケージNAVIにこれを取り上げたかと言うと白いパッケージ(業界風に言うと無地箱)で商品供給されているメーカーさんがあるようなのですね。

その辺の意図的な部分を「2017年11月号 販促会議」からの引用を使いながら解説してくれている記事を見つけたので取り上げてみました。

引用元:DORECT Connect

まさかの引用の引用ですが。(汗)

つまりは共通箱として利用しているということです。

共通箱とは

共通箱とは読んで字のごとく『何種類かの商品パッケージを共通で使用する箱』のことです。

通常、商品パッケージには様々な文字や図柄が表記・デザインされています。

・商品名

・商品内容説明

・バーコード等の必要な記載事項

などですね。

加えて、よりイメージしやすいように、また、より良く見せるように

・デザイン

が成されております。
(もちろん、テキスト部分を含めてのデザインですが。)

ただ、これらの文字・図柄を商品ごとにオリジナルパッケージを用意するとなると、当然のことながら、少なからずデメリットも出てくるというわけです。

共通箱の3つのメリット

共通箱を利用することのメリットは主に以下の3つが挙げられます。

生産コストが安い

『共通』の部分によって、下げられるコストに差はあるものの、共通させることにより概ね生産性の合理化が図れるので必然的にコストは下がる傾向にあります。

例えば6種類のパッケージを各1,000個作るとした時に『ある部分を共通にする』ということで考えてみると。

まず、全く何もかもが共通ということであれば単純に本来、生産ロット1,000個の価格が掛かるところを生産ロット6,000個の単価でパッケージを作ることが可能になります。印刷の仕事は基本生産ロットにより大きなコストの違いが生じますので生産ロットが6倍になることで大きなコストダウンが図れることは明白です。

加えて印刷が同じであることからデザインに掛かる費用はもちろんのこと、印刷データを作成する費用さえも6分の1で済むわけですから初期費用も大幅に抑えることになるのです。

また、印刷がまったく同じでなくても例えば4色の内3色は共通色、共通図柄にして残りの1色だけを変えるという方法でもコストダウンは可能です。さらに、どうしても印刷は別々にしたい、されど形状だけは同じでいける。このような場合にでも印刷だけを別々にして、それ以降の加工を同時生産することで加工コストを抑えることが出来ます。

ただ、これらの方法はあくまでも『同時生産する』という付帯条件が付くことをご承知ください。

このように『ある部分を共通にする』という方法を用いることでコストダウンが図れるということを覚えておいてください。

納期が早い

これは想像に難くないと思われます。生産コストが安くなるということは単純に生産性が上がるということを意味しております。すなわち、生産スピードが速くなる。つまりは、納期が早くなるということです。

管理がしやすい

これは共通箱にすることで種類が少なくなる(例えば、6種類のものが1種類になる。8種類のものが2種類になる。など)場合のことですが。

種類が少なくなることで管理がしやすくなるのは言うまでもありません。種類が多ければ加工時の各工程においても種類別に分けなければなりませんし、種類が存在することで異品種混入の発生リスクが高まります。それゆえに、単純に分けるだけではなく、混ざらない工夫、混ざらない生産管理、流出しない検査体制など表には出ないコストが掛かるわけです。

もちろん、パッケージを購入する側のお客様に至っても同じことが言え、やはり、種類が増えることにより在庫の置き場所を含めた管理コストは1種類の時と比べコストが掛かると。

その点、1種類もしくはより少ない種類数にした場合の管理はしやすくなりますよね。そもそも1種類にしてしまえば異品種混入ということさえ発生し得ないわけですから。在庫スペースに至ってもわざわざパレットを分けたり、出荷間違いをしないようにラベルの色を分けたりなどの手間が発生しません。

このように共通箱にすることで管理がしやすくなるのです。

共通箱の2つのデメリット

共通箱を利用することのデメリットは主に以下の2つが挙げられます。

オリジナル性に欠ける

パッケージには商品の保護という役割がありますが、一方でデザインを施すことによる商品のアピール力を高めるという役割もあります。

この商品のアピール力という観点に立つと、無地箱ではどうしても力不足となりがちです。もちろん、無地箱であっても中身を見せる形態等にすることで多少なりともアピール性を着けることは可能です。

とは言え、競合他社商品との差別化を考えた場合、印刷をしない無地箱ではどうしてもアピール力が欠けてしまうのは否めません。

それがよーく分かっているからこそ世の大半の商品パッケージにはデザインが施されているのではないでしょうか。

商品との整合性に対する手間が増える

これは特にお客様の立場でのことですが。

商品と商品パッケージを分けることで別々に管理することになります。(共通箱であっても商品ときっちり数量を合わせて仕入れを行っている場合はその限りではありません。)

そのため、商品の出荷時の在庫管理に商品とパッケージを別々に在庫管理する手間が発生するのです。これが時には在庫数量の引き忘れ(主ににパッケージの方)が発生し、いざ商品を出荷しようとした時にパッケージがない!なんてことにもなりかねません。

また、それ以前の商品管理に関しても大きな負荷が掛かります。パッケージを共通にしたとは言え、中身の商品は別物です。当然のことながら商品をパッケージングした後は別々の商品として管理する必要があります。ただ・・・

パッケージが共通である以上、中身の商品が外から見えるタイプのパッケージならいざしらず、完全に中身が見えない状態のパッケージであればパッケージングした後は中身の確認は箱を開けなければできません。つまり、パッケージングする時には予めパッケージにラベルを貼るなり、パッケージングした後に区分けして置く場所によって管理するなりしなければならないということです。

これって結構な手間なのですね。

パッケージが共通であるがゆえに出荷間違いを引き起こしやすくなるという盲点でもあります。

本体が共通箱。仕切りでバリエーションを。

共通箱という意味では形状の一部分のみが共通の箱も1つの方法です。

例えば、タイトルにあるように本体(外側)が共通で、仕切(内側)を数パターン用意することで数種類のパッケージとして利用するものです。

とある珈琲専門店様からのご要望で多岐に渡る商品郡を出来る限り少ないパターンでパッケージに収めたいというご要望を頂いたことがあります。

商品のアイテムとしてはパウチ袋のものが3種類、飲料パックが1種類、分包箱が1種類、瓶物が1種類・・・もっとあったかなー?

これらの商品を様々なパターンでギフトパッケージにしたいのです。それこそ飲料パックが1種類だからと言って1本入るパターンだけではなく、2本入りの時や、3本入りの時もあり、これらが各々別の商品との組み合わせがあったり・・・と、ごちゃごちゃ何を言っているのか分からないレベルだと思いますが、そのくらい複雑なパターンのパッケージングをより少ないパッケージで処理したいというのですね。

この時に採用したのが本体を共通にして仕切を数パターン用意するというものでした。

お客様との打ち合わせが難航したのは言うまでもないところですが、何とか本体を3パターン、そして、各々の本体に合う仕切を数パターン作ることでお客様に喜んで頂くことができました。

本体の3パターンというのは一番大きい商品(飲料パック)の1本入り、2本入り、3本入りのパッケージを基本にしたものです。

そこから仕切を工夫することで少々無理やりではありますが各々のいずれかの箱に収まるように仕切の構造を考えたというわけです。

とにもかくにも。

本体が共通箱、仕切りでバリエーションをつけるという共通箱の作り方もあるのでぜひ参考にしてください。

ハンドスピナーの箱はなぜ共通箱なのか?

冒頭で引用しましたDORECT Connectさんの記事を参考に改めて解説していきます。

ハンドスピナーの箱はどんな箱

“透明のフィルムでパッケージの外から商品の全体が見えるようになっていて、
それ以外は白色の無地のパッケージ、ということですね。
この写真ではわかりませんが、裏面には表示が義務付けられている内容が
黒文字一色で記載されているだけのようです。
それ以外の記載は何もありません。
商品名やメーカー名すら書いていません。

たしかにかなりシンプルなパッケージですよね?
しかも、このハンドスピナーの色は全部で6種類ほどあったんですが、
すべてこの1種類のパッケージで売られていたそうです。”

引用元:DORECT Connect

つまり、黒1色印刷の白い紙地の箱で、1箇所穴が開いており透明フィルムが貼られている(裏面からの窓貼り、もしくは表面から全面PP貼り)箱です。(パンケージの形状は分かりません。)

ハンドスピナーの箱から得られるメリット

画像からでしか判断できませんが“箱屋”視点でのハンドスピナーの箱から得られるメリットを3つ挙げておきます。

印刷加工コスト及び企画・デザインに関わるコストを抑える

白無地箱ということで、そもそも印刷はされておりません。当然のことながら印刷コストは“0”ですし、印刷をしないことでデザインをする必要もなければ印刷データを編集加工することもありません。それゆえに印刷したならば発生していたはずの印刷に関連するあらゆるコストが大幅にカットされております。

打抜(トムソン)・貼り(グルアー)の加工コストを抑える

形状が共通の箱ということで、打抜(トムソン)・貼り(グルアー)の加工が同時にできますのでこれらの加工コストが合理化できます。そして、打抜(トムソン)をするためには木型と言われる抜き型が必要なわけですがそれが1つでいけるということになります。

ただ、例に挙げているハンドスピナーの箱は6種類別々の印刷をしていたとしても、恐らく形状は共通であったでしょうから、この部分に関してはメリットが発生したとは言い難いです。

このようなメリットの考え方の1例としてあえて挙げておきました。

生産数を増やすことで生産コストを抑える

例えば6種類を各1,000個生産していたとしたら生産ロット1,000個の単価でパッケージを仕入れる必要があるわけですが、共通箱にすることにより1,000個ⅹ6種類の計6,000個の生産ロットの単価で仕入れることができます。6倍の生産ロットですから大幅なコストダウンが図れたことでしょう。

箱の生産調整をしやすくする

リピート生産に対しても例えば6種類各200個追加でパッケージを仕入れたいということになっても印刷が別々であれば各1,000個の仕入れをして各800個の在庫を抱えるか、もしくは大幅なコストアップを覚悟で各200個の仕入れをするかしなければいけません。リピートの時点では商品の販売価格も決まっていてるでしょうから資材コストのアップは利益率の低下に繋がりますし、場合によっては逆ザヤ(赤字)ということにもなりかねません。

一方で共通箱にしていれば1,200個で仕入れることができますので、資材コストを予め当初の1,000個で見込んでいればなんら問題がないということになります。そういう意味でも仕入れしやすいというメリットが生じているというわけです。

ハンドスピナーの箱が共通箱である意図

“正解は、、、記事を引用すると、”急速に流行した後、パタッと売れなくなると予想する、いわゆる市場を一過性のブームだと見る場合は、いかに早く商品を市場に出し、在庫管理をしながらブームが去った後で、在庫処理で大きなマイナスが出ないよう準備することに重点が置かれる。この場合は、「うちの商品こそが本物だ」などと争っているうちに市場がなくなってしまうので、早く市場に入って、撤退の準備をする。

その点、真っ白いパッケージは、どんな色のハンドスピナーでも使え、製品別の在庫調整の必要がない。デザインをしなければ、少しでも早く市場に商品を届けられるし、ブームの時は品薄だから商品さえあればパッケージがどうであれ売れていく。加えて、おもちゃブームの際の購入パターンは、お父さんがお土産で買う代理購買も多く、スピナーだとわかれば十分なケースが多い。そういう意味で、真っ白いこのパッケージは理にかなっている。

一方でこれから5年、10年と市場が成長し、安定したマーケットになると考えた場合はパッケージの作り方が変わる。市場が大きくなるにつれ、さまざまな差異化された商品が市場に投入されるはずだ。「ほかと何が違うのか、このテーマでならこのブランドは負けない」。そういったブランドプロミスを伝え、記憶してもらうための独自のデザインが重要となる。

この種のパッケージデザインには、お金も時間もかかる。しかし市場が成長し、長期的に安定するのであれば、後でしっかりと回収できる。”(*2017年11月号 販促会議より引用)

つまり、、、

この手のブームは売れるかどうかわからないし、長く続くかどうかもわからない。だから、パッケージを凝らずに、いかに早く市場に出して反応を見るかが重要。反応が良ければ先行者利益を得ることができるし、ダメだったら撤退すればいい。

また、パッケージを凝らずにリリースすれば、その開発に時間とコストをかけずに済むので、撤退した時の時間とお金のロスを最小限にできる。お金も時間もかけた凝ったパッケージは、その後、市場が成長して安定した時に作ればいい。

ということなんだと思います。”

引用元:DORECT Connect

まさしく!という感じで補足することもございません。

共通箱のメリット・デメリットを十分に考慮した上で「まずは共通箱にしよう」ということになったのでしょう。

我々パッケージ屋としては箱の生産に掛かるコストという面からのアプローチが先立ち、

・オリジナルパッケージすれば差別化が図れますよ。反面コストが掛かります。
・共通箱にすればコストを抑えることができます。反面差別化しづらいですね。

というアドバイスをすることがほとんどです。

しかしながら、市場の状況を見て、

・いち早く市場に商品を投入することが販売機会をものにする

・ターゲットが種類の判別に意識が薄い

という視点はなかなかアドバイスするに至りません。

ここのところは例えパッケージ屋とは言え、お客様とパートナーシップをとって『売れる商品パッケージ』を提供していくという姿勢を強くするなら今後ガッツりと首を突っ込んでいくべき部分です。

その為にもこうしてWEBメディアを活用して情報発信をし、見込み客からの情報を得る機会を広げることで『お役立ち』の精度を高めております。

逆に・・・

これまで“共通箱”というテーマでお伝えして参りましたが、逆の考え方もできることにお気づきでしょうか。
それは・・・

1商品に対して複数パターンのパッケージを用意するとうことです。

複数のパッケージを用意することでどんなメリットが得られるかと言うと

「豊富なバリエーションが楽しめる」

ということです。

たとえば、先ほどのハンドスピナーには6種類の色違いのバリエーションがあるわけですが、パッケージを色替えバリエーションを作ることで、あたかも数種類の商品があるような演出ができますよね。

また、以前にはよく見かけた(今もありますが)当り・はずれのあるパッケージなんてありますよね。これの応用で当り・はずれを作らずとも様々なキャラクターを用意してどのパッケージにいずれかのキャラクターが入っているというのはどうでしょう。少し興味を惹く可能性は充分にあります。さらに言えば、全てのキャラクターを集めれば何らかのプレゼントがもらえるというような企画にすれば、場合によっては商品ではなく、パッケージ欲しさに購入するというお客様が出てくるかもしれません。
(決して商品に魅力がないと言っているわけではありません。)

このように、パッケージを言わば1つの商品価値として見せることができれば販売促進に大きな力となるのではないでしょうか。

逆に・・・という考え方も非常に重要なです。

まとめ

ということで、共通箱には資材コスト抑えるというメリットもさることながら、商品をいち早く市場に投入するという戦略を実現するための1つの手段としても活用できます。

私どもパッケージ屋としては大いにパッケージにコストを掛けて頂きたいわけですが、それ以上に商品が売れることが望ましいことは言うまでもありません。

そのための方法の1つとして共通箱を選択されるのであれば、喜んで共通箱を作るものです。

商品パッケージを作成する上で“オリジナルパッケージを!”とこだわりすぎることなく、まずはどのような戦略を持って販売していくかということを考え、時には共通箱でスタートするということも頭の片隅において頂ければ良いですね。

 

今回は色々なご提案を軸にお話しを進めさして頂きましたが。

形状にしろ、中仕切りにしろ、はたまた原紙やデザインにしろ

素材要素を最大限に活かして、より良い紙箱の制作に携われたらなぁ・・

と、強く思う今日この頃です!!

ご質問・ご相談は下記よりお気軽にお問合せ下さい。

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